ビジネスローンについて

ビジネスローンは1990年代後半に登場したスピード審査型の融資であり、信用保証協会の保証が付かない融資なので、プロパー融資の一種ではありますが、

 

多くの場合、いわゆるプロパー融資とは別のものとして考えている傾向にあります。

 

日本の銀行で初めてビジネスローンの取扱いをしたのは、東京の地方銀行である都民銀行です。もっとも多く利用されていたのは、三井住友銀行の「ビジネスセレクトローン」でしょう。

 

ビジネスローンは、スピーディな審査で無担保かつ第三者連帯保証人も必要ないという点が大きな特徴であり、審査期間3日~5日となっているものが多く、通常の銀行融資の審査期間と比べると非常に短期間で融資を受けることが可能です。

 

審査方法は、一般的に銀行融資は人が定量分析(財務資料からの計数分析)や定性分析(数字に表れない部分の分析)を行って融資の可否を判断するのに対し、

 

ビジネスローンは、スコアリングという審査方法により、申込み企業の決算書を基にコンピュターが審査を行います。

 

コンピューターに情報を入力すると「融資の可否」、「貸付可能金額」「金利」「返済期間」などが瞬時に判断されます。これによって審査期間の大幅な短縮を可能としています。

 

一方、デメリットとしては通常の銀行融資と比較して高めに設定されていたり、事務手数料がかかる等があります。

 

このように、非常に使い勝手の良い融資ということで、2000年代前半から半ば頃までは、メガバンクを中心に積極的な営業が行われ、多くの中小企業が利用しました。

 

しかし、コンピューターがほぼ決算書のみで審査を行うことから、粉飾決算を見抜くことができず、決算書を良くすれば、実態の財政状況を隠して融資を受けることが出来てしまうなどが発生しました。これにより、粉飾決算が横行するなどのモラルハザードが起こり、その結果、貸し倒れも非常に多く発生しました。

 

その影響で、一時の勢いはあっという間になくなりました。

 

現在においては、過去の反省を踏まえて、コンピューターだけが審査するのではなく人の目も入れるなどの対策が取られるようになっており、審査のハードルも高くなり、以前のように簡単に借りられるものではなくなっています。

 

存在感がだいぶ薄まってしまっているビジネスローンですが、メリットも多い融資方法なので、今後課題を克服し、再度盛んに利用される可能性もありますので、知っておくと良いでしょう。

 

都民銀行の「スモールビジネスローン」三井住友銀行の「ビジネスセレクトローン」も今現在も存在しており利用することは可能です。

 

この二行に限らず、多くの銀行で今もなお商品として用意されています。

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